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これまでのビジネスマナーといえば、「スーツは黒か紺」「上司より早く出社」「会議ではメモをとる」といった“型”が重視されてきました。
しかし、時代は大きく変わりました。
リモートワークの普及、オンライン会議の浸透、チャット中心のコミュニケーションなど、私たちの働き方は令和になって加速度的に進化しています。
それに伴い、「マナーとは何か」の定義もアップデートが求められるようになりました。
本記事では、旧来のマナーと比較しながら、令和時代における“実用的で柔軟なマナー”のあり方について解説します。
テレワーク時代に必要な配慮、成果重視の姿勢、そして変わらぬ本質──。
「相手を思いやる」ためのマナーを、一緒に見直してみませんか?
昭和~平成時代のビジネスマナーでは、「出社時間前に着席していること」や「上司より早く出社すること」が、誠実さややる気の表れとされていました。
早く来て、黙々と仕事に取り組む姿こそが信頼を得るための第一歩だったのです。
しかし、令和に入り、その価値観は大きく変化しました。
出社の有無や勤怠の見た目ではなく、「時間をどう使うか」「どれだけの成果を出すか」が、仕事の評価基準として重視されるようになってきたのです。
特にテレワークやフレックスタイム制度が浸透した現代では、「見えない場所で働く」ことが当たり前になりつつあります。
だからこそ、セルフマネジメント力(りょく)や自発的な報告・共有の姿勢が、より一層重要視されるようになりました。
信頼されるビジネスパーソンとは、誰よりも早く出社する人ではなく、「自律して成果を出せる人」へとシフトしているのです。
オンライン会議は、令和時代の働き方においてもはや欠かせないコミュニケーション手段となりました。
対面とは異なり、カメラ越しのやり取りではちょっとした仕草や環境がその人の印象を左右する大きな要素になります。
服装や背景、マイクのオン・オフの切り替え、発言時の表情など、非対面であっても相手に配慮した振る舞いが求められます。
自宅であっても、「仕事の場である」という意識を持つことが、新しいマナーの基本といえるでしょう。
たとえば、部屋が散らかっていたり、照明が暗かったり、雑音が入り込んだりすると、相手に不快感を与えてしまうことがあります。
また、話していないときにマイクをミュートにしないと、生活音が相手の集中を妨げる原因にもなりかねません。
「見えていない部分こそ丁寧に整える」──そうした意識が、現代におけるマナーの本質といえるのではないでしょうか。
SlackやChatwork、Teamsなどのビジネスチャットツールは、現代の職場における主要なコミュニケーション手段となりました。
これらのツールでは、短く、明快に、要点を絞って伝える力がより強く求められます。
チャットはメールと違い、やり取りのテンポが速くなりがちなため、1メッセージ1トピックで簡潔に伝えることが理想です。
長文をダラダラと書くのではなく、伝えたいことは箇条書きで整理する、確認事項は文頭や文末にまとめるなど、相手が読みやすく、すぐに理解できる工夫が必要です。
また、レスポンスが早いことが評価される文化がある一方で、対応が遅れる場合には「確認中です」「●時までにお返事します」といったリアクションを一言添えるだけで、印象が大きく変わります。
特にテキストだけのやりとりでは、表情や声のトーンが伝わらないぶん、“気配りのあるテンポ”が重要になります。
その人の文章のリズムや対応の姿勢には、人柄や仕事への向き合い方がにじむものです。
伝える力だけでなく、伝わる工夫が、令和時代のビジネスマナーのひとつになっているのです。
あらゆる形式やツールが変わっても、“相手を大切にする姿勢”だけは変わりません。
働き方がオンラインへと移行し、やりとりの多くが画面越し・文字中心になった今だからこそ、その「姿勢」はいっそう重要性を増しています。
たとえば、感謝の気持ちを言葉にして伝える、依頼や返事をするときに一言の気づかいを添える、すれ違いや誤解が生じたときには素直に謝る──。
こうした「人としてのマナー」は、どんなに時代が移り変わっても、信頼関係を築くうえで欠かせない要素です。
また、スタンプひとつ、絵文字ひとつの使い方でも、相手への思いやりや距離感への配慮が問われるようになりました。
便利なツールを使いこなすことも大切ですが、そこに“心をのせる”ことが、より一層求められているのです。
「マナー=堅苦しいルール」ではなく、「マナー=思いやりの表現」ととらえることが、これからのビジネスを円滑にし、信頼される人になるための大切なカギとなるでしょう。
令和のビジネスマナーは、単なるルールや形式ではなく、時代の変化とともに「相手を思いやる姿勢」をどう表現するかが問われるようになりました。
出社や服装、会話の方法など、かつて常識だったことが柔軟に見直される中で、「マナー」という言葉も固定的なものではなくなってきています。
しかし、その根底にあるのは「相手に敬意を払い、気持ちよく仕事ができる環境を整える」という変わらぬ目的です。
それは対面であっても、画面越しであっても変わりません。
大切なのは、「昔ながらのやり方」か「新しい方法」かではなく、相手の立場に立って考え、伝え方や振る舞いを柔軟に選ぶ力です。
形式にとらわれず、それでいて礼を失わない。
そんなバランス感覚こそが、これからの時代に求められる「新しいマナー」ではないでしょうか。